|第4話|司法書士に聞く!知ってると得する〜成年後見制度のメリット・デメリット
今回のテーマは「自分が将来認知症になったときどうしたらいいの?成年後見制度のメリットとデメリット。」
離れて暮らす親が心配、障がいのある親族がいる、といった不安を法律的に支援する成年後見制度のメリットとデメリットをわかりやすく解説していきます。
成年後見制度のメリットとは?
①本人に代わって財産管理ができる
成年後見制度には、家庭裁判所から成年後見人等を選んでもらう法定後見制度(法律による後見制度)と、契約であらかじめ後見人を定めておく任意後見制度(契約による後見制度)がありますが、成年後見人等及び任意後見人は、判断能力の低下によって困難となった不動産、預貯金及び有価証券等の管理を本人に代わって行うことができます。
②契約の取消しができる
成年後見人等には取消権があるので、本人にとって不利益な契約を後から取り消すことができます。例えば、本人が、訪問販売によって大量に不要な健康食品等を購入してしまった場合等に、成年後見人等はこの取消権を行使することが考えられます。なお、自分の判断能力が衰えてきた時のことを想定し、あらかじめ契約によって定められた任意後見人にはこの取消権を行使することはできません。
※上記の事例では任意後見人であっても、いわゆる訪問販売での契約のクーリングオフや取消権(特定商取引法第9条、第9条の3)等を行使できるため、支障はありません
③裁判所の監督機能がある
成年後見人等及び任意後見人は裁判所の監督のもとに業務を行います。そして、本人のために使った費用はすべて記録し家庭裁判所に、任意後見人の場合は任意後見監督人に報告します。
成年後見制度のデメリットとは?
①自由に財産の処分ができなくなる
本人の財産は家庭裁判所の管理下におかれ、家族であっても自由に使うことはできなくなります。また、投資や相続税対策も基本的にはできなくなります。
②一度後見人になるとやめることは困難
一度後見人に就任すると、簡単にやめることはできません。後見人の仕事は、基本的に本人が亡くなるまで続きます。「面倒になったから」「忙しくなったから」等の理由ではやめられないので注意が必要です。
日常生活での問題を防ぎ、権利を守る成年後見制度。メリットとデメリットを知り、安心できる暮らし作りに上手に活用しましょう。
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